日本植物分類学会第17回大会:2018年3月8日-10日 金沢市; ロゴと写真

大会ロゴについて

白山は石川県のシンボルとも言うべき山です。日本植物分類学会の皆さんにとっての白山は「植物の宝庫」かもしれません。しかし,白山は我が国の古植物学発祥の地でもあります。白山周辺には約1億4500万年前〜1億2000万年前の白亜紀前期の地層が広く分布しています。H. T. Geylerは1877年に加賀国島村桑島(現在の白山市桑島)から中生代植物化石を報告しましたが,これが日本産植物化石に関する世界初の研究となりました。日本人研究者の手による最初の植物化石研究は,横山又次郎が1889年に発表したもので,そこでも島村産の植物化石が用いられました。ロゴに用いた植物は島村産のイチョウモドキ(Ginkgoidium nathorsti Yokoyama)で,Yokoyama (1889) の図版3図2から借用しました。

実は加賀国は古くから古植物学と縁の深いところです。例えば,兼六園には竹根石と呼ばれる手水鉢がありますが,これは約1700万年前のヤシ類の幹および根の化石です(小倉謙により,Palmoxylon maedaeと命名されています)。また,組織学に基づく古植物学を日本で最初に立ち上げた藤井健次郎は,金沢市出羽町(兼六園の付近)の出身です。藤井健次郎は,遺伝学・細胞学の発展に大きく貢献したことで有名ですが,「植物の生い立ちを包括的に理解するためには,植物化石の研究も不可欠である」という考えも持っていたようです。彼の理想は,分野横断的な科学の展開が求められる今日にも通用するものです。私たちもその実現に近づけるよう努める必要があるでしょう。本大会が,分野横断的な植物分類学の展開に貢献できることを願って止みません。

なお,白山は加賀国の水の源でもあります。本大会では,皆さんと白山の水(と米と酵母)の恵みを楽しめるようにも,もちろん努めます。あと魚も。

ロゴデザイン・文章 山田 敏弘